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老人日記

今日も暑くなりそうです。むしむしと湿度がたかい。およそ30年前の夏を思い出す。その年私は長年勤めた図書館を六月いっぱいでやめて第二の人生をはじめた。来る日も来る日も暑い陽ざしが朝から街並みを照らしていた。茹だるような暑さのなかで人びとは競うように冷房を入れた。私はノースリーブのブラウスに短パン姿で玉のような汗を流しながら、洗濯物にアイロンをかけ、働いていた時に整理できなかったガラクタや本、衣類、家具などの整理に一生懸命だった。夏には夏らしくたっぷりの汗を流す、自然流の生活を考えた。次の年は夏のない冷夏だった。あの頃すでに異常気象という言葉が人々の頭をよぎっていた。しかし今年の夏の初めは日本の各地に発生した線状降水帯が大量の雨を降らし、甚大な被害をもたらした。豪雨、山火事、巨大竜巻、南極や北極の氷河が解ける、それらは一部にすぎない。地球があげる悲鳴のような現象はあの頃の比ではないと感じさせるような昨今です。
ウクライナとロシアの戦争が続いている。この戦争は来年の夏まで続きそうだという新しい予測がウクライナの政府筋から出ている。今ではこの戦争は全世界に深刻な影響を与え、全世界のものになろうとしている。破壊と殺しあいと人々への深刻な影響(特に力を持たない人々への深刻な影響)が拡大しているというのに、なぜ戦争はやまないのかと疑います。
 最近トルストイの晩年が気になるきっかけがあっって、ロマンロランの「トルストイの晩年」を読み始めました。最後のほうまでところどころ鉛筆の線が入っているので昔読んでいます。しかし中身はすっかりわすれていたのだが。トルストイは晩年仏教に近づいたらしい。
 ネットで目にしたある記事から  
日露戦争がはじまったとき、トルストイはアメリカのある新聞の質問に答えている。「あなたは、ロシア人と日本人のどちらの味方なのか」 
「私は、ロシア、日本、どちらの『国家』の味方でもない。戦争で苦しむ両国の『民衆』の味方である」と。「私はロシアの味方でもなければ日本の味方でもなく、良心と宗教と自己の幸福とに反してまで戦うよう政府によって横着(だますこと)され強制された両国の労働階級の味方である」(ビリューコフ著『大トルストイ』、原久一郎訳、勤草書房刊) 
 トルストイは日本の各界にも「日露戦争反対」を訴えた。メッセージも寄稿した。日本の仏教界に対しては「仏教の不殺生の精神に立って、非戦の運動に立ち上がってほしい」と呼びかけた。“仏教では「殺すなかれ」と教えているのだから、仏教者ならば反戦のために政府と戦うべきではないか”と。トルストイは晩年、仏教に深い共感を寄せていた。日本の仏教界への訴えの背景にも、仏教への信頼と期待があったと考えられる。 
 しかし、トルストイの訴えに対し、当時の日本の仏教界の代表は何と答えたか。 
「われわれは日本国の臣民である以上、戦争に協力せざるを得ない」(市川白弦著『日本ファシズム下の宗教』、エヌエス出版会刊) 
彼らは仏教という普遍の「法」よりも、特定の「国家」のほうを重視し、優先させたのである。、、、
 

 正義のための戦いがあると信じている人々がある。戦争が自分たちの利益である人々もいる。しかし正義とは何だろうか。正義のための無差別爆撃もあったし、戦いなど望まない多くの無辜の人々の死、子供、赤ん坊の死もあった。一瞬ですべてが消滅する原爆もつかわれた。生きることが奪われた。正義のための戦争とは何だろうか。
 昨今のリアリストを自任する人の考えは十人の死か、十一人の死かで、十一人を十人にとどめるための戦争であると考える。そして人を殺傷するための兵器、殺傷と同時に防衛のためにとどまるところを知らないまでに成長している。こうした産業は肥え太り、人びとの飢えや死より重要視される。
 ロマンロラン著「トルストイの生涯」に著者に当てたトルストイの手紙が載っていました。
 「生物たちはお互いに滅ぼしあっています。しかしお互いに愛し合ってもいるし助け合ってもいます。人生は生物たちのたがいの破滅によって保たれるものではなくて相互関係によって保たれるものであり、その相互関係は愛の感情として私には感じられるのです。私は世のなかの進み方というものが分かるようになってからこの方、人類の進歩がただ相互関係の法則によってのみ生み出されるものであるとみています。歴史というものはすべて全生物の連帯関係というただ一つの法則の、ますます明らかになってゆく理解と実行とにすぎないものです。・・・・」
 真理についてトルストイがたどり着いた答えが出ている、理解できる一節だと思いました。


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